農地中間管理事業の概要
農地中間管理事業の概要
農業経営基盤強化促進法及び農地中間管理事業の推進に関する法律(以下「機構法」という。)の一部改正(令和5年4月施行)に伴い、農地中間管理機構(以下「機構」という。)への集積と担い手等への配分は、地域の話し合いにより策定される「地域計画」に基づき、農用地利用集積等促進計画(以下「促進計画」という。)によって行われることとなります。
なお、農用地利用配分計画(以下「配分計画」という。)を新たに作成することはできませんが、「地域計画」が策定されていない地域においては、令和5〜6年度の2年間は経過措置として、農用地利用集積計画(以下「集積計画」という。)が作成できますので、概ね従来同様の手続きで農地の貸借を行うことができます。
令和6年度末まで2年間の農地の集積・配分手続き
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「地域計画」が策定されていない区域
(地権者→機構)※経過措置
「集積計画」で機構へ集積
(機構→耕作者)※新制度
「促進計画(配分)」で耕作者に貸し付け
※利害関係人からの意見聴取が必要 -
「地域計画」が策定された区域
(地権者→機構)
「促進計画(集積)」で機構へ集積
(機構→耕作者)
「促進計画(配分)」で耕作者に貸し付け
「集積計画」に基づく相対契約への対応
「集積計画」により地権者と耕作者が直接貸借をしていた相対契約についても、経過措置終了後は、原則として機構を通じた促進計画による契約に移行します。
しかしながら、これまでと同様の手続きを希望される意見も多いことから、賃料の授受も含め、可能な限り従来に近い手続きとなるよう、県、市町及び農業委員会等の意見を聴きながら具体的な方法を検討していきます。
- 「地域計画」策定への協力
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農業者等による協議への場の参加など、農地集積の基本となる「地域計画」の策定に機構として積極的に協力していきます。
- 機構が行う「農地中間管理事業」とは
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機構が市街化区域(※1)以外の区域において行う事業で、「地域計画」が策定された区域で重点的に実施するものとし、主に次の事業を実施します。
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農用地等(※2)について農地中間管理権(※3)を取得し、担い手等に貸付けを行う事業
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農地中間管理権を有する農用地等の改良、造成、又は復旧、農業用施設の整備その他当該農用地等の利用条件の改善を図るための業務、農用地等の管理を行う事業
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市街化区域とは、都市計画法で指定される都市計画区域の1つです。
すでに市街地を形成している区域と、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とされています。 -
農用地等とは、機構法第2条第2項に定められた以下のものを指します。
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農用地
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木竹の生育に供され、併せて耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供される土地
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農業用施設の用に供される土地
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開発して農用地又は農業用施設の用に供される土地とすることが適当な土地
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農地中間管理権とは、機構法第2条第5項に定められた機構が取得する以下の権利を指します。
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賃借権又は使用貸借による権利
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農地貸付信託により取得する所有権
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農地法第41条第1項に基づく知事裁定による利用権
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「市街化区域」以外の農地(上図斜線部)の内、以下の基準により、経営体への貸付けが見込まれるもの。
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地域計画の区域内の農用地等
地域計画の達成に資するよう、目標地図に基づき積極的に農地中間管理権を取得するものとする。 -
地域計画の区域外の農用地等
原則として、市町や農業委員会が、農用地の利用の効率化及び高度化の促進を図るために必要と認め、かつ貸付先が見込まれる場合に、農地中間管理権を取得するものとする。
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機構は、1にかかわらず、次に掲げる農用地等については、農地中間管理権を取得しないものとする。
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農地法第30条に基づく農業委員会による利用状況調査において、再生不能と判定されている荒廃農地
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用水路や接道がない狭小地又は傾斜地など、農用地等として利用することが著しく困難であることが形状又は性質から明らかであり、かつ、土地改良事業等による利用条件の改善が予定されていない農用地等
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その他、経営体に貸し付けることができる可能性が著しく低いと認められる農用地等
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- 市町等への業務委託
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機構は事業を実施するにあたり、業務の一部を市町等へ委託します[機構法第22条]。
- 農地集積推進員による集積支援
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機構は、「地域計画」の策定主体である市町や農業委員会をはじめ、土地改良区、農業協同組合など関係機関と連携し、農地中間管理事業を円滑に推進するため、県内に一定の活動範囲を定めた農地集積推進員をきめ細かく配置します。
- 機構による農地中間管理権の取得(地権者からの借入)
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農地の借入条件
- 原則として、「地域計画」の目標地図に位置付けられた農地であること。
- 農地の利用の効率化及び高度化の促進を図るために必要で、耕作者(受け手)への貸付けが見込まれる農地であること。
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農地の借入期間
機構は、借入を行うにあたっては、可能な限りその期間が10年以上(機構と耕作者との契約期間が満10年になるように、借入期間を調整)となるよう努めます。しかしながら、耕作者が高齢等の理由により、10年未満を希望されることも多くなっていることから、最短期間を5年とし、借入期間は5年又は10年を基本としています。6〜9年、又は10年以上を希望される場合は、個別に協議します。
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農地中間管理権の取得(借入)手続き
「地域計画」が策定された区域ではその達成に資するよう地権者と機構間の「促進計画(集積)」を作成します。具体的には、機構は市町からの案の提出や農業委員会からの要請に基づき、「促進計画(集積)」を作成することを基本とします。
機構は、県に「促進計画(集積)」の認可の申請を行い、県の公告により賃貸借等が成立します。
※令和6年度以降、県から市町に権限移譲された場合、市町が認可・公告を行うこととなります。 -
農地中間管理権に係る契約の解除
機構が農地中間管理権を有する農地が次のいずれかに該当するときは、県知事の承認を受けて、当該農地中間管理権に係る契約を解除する場合があります。
- 農地中間管理権を取得した後、又は貸付先との契約が解除となった後、概ね1年を経過してもなお当該農地の貸付けを行う見込みがないとき
- 災害その他の事由により農地としての利用を継続することが著しく困難となったとき
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- 機構からの貸借権の設定(耕作者への貸付け)
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貸付手続き
「地域計画」が策定された区域ではその達成に資するよう機構と耕作者間の「促進計画(配分)」を作成します。具体的には、機構は市町からの案の提出や農業委員会からの要請に基づき、「促進計画(配分)」を作成することを基本とします。
機構は、機構と耕作者間の「促進計画(配分)」を作成し、県に認可申請を行います。
その後、県での認可・公告(県のホームページで公表)を経て、賃貸借等が成立します。 -
利用状況の報告
機構は、農地の利用状況について確認する必要があると判断した場合、耕作者に対し、農地の利用状況報告書の提出を求めることがあります。
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賃借権等の契約の解除
次のいずれかに耕作者が該当するときは、機構は県知事の承認を受けて、設定した賃借権等の契約を解除することがあります。
- 借受農地を適正に利用していないと認められるとき
- 正当な理由なく借受農地の利用状況の報告をしないとき
- 正当な理由なく賃料を支払わないときその他信義に反する行為をしたとき
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- 機構による賃料の徴収と支払い
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徴収・支払方法
賃料の徴収と支払は、「集積計画」及び「配分計画」並びに「促進計画」の記載内容(賃料の支払方法)に基づき行います。なお耕作者には、徴収月の1ヶ月前頃に機構から徴収日と当該年の賃料について事前通知を行います。
金納の場合
耕作者から機構が当該年の賃料を徴収し、その後機構が地権者へ支払います。
地権者 口座振込依頼書兼委任状
- 金融機関名
- 口座名義人
- 口座番号
「賃料金額」のほか賃料受取の口座情報を記載
耕作者 貯金口座振替依頼書
指定金融機関から毎年指定日に機構が徴収※契約期間中に相続等が発生し、手続き変更が生じたときは、地権者、耕作者を相続人名義で書類を作成し直すことが必要となります。
地権者 11月末日までの支払い
12月末日までの支払い耕作者 11月10日に徴収
12月17日に徴収※徴収日が、土・日・祝日の場合は、翌営業日となります。
物納の場合
耕作者が、直接、地権者に物納します。
また、機構は、耕作者から「納入済み」の確認をとります。毎年12月末日までに、耕作者が地権者へ直接、物納します。
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賃料の税法上の取扱い
- 地権者が受け取る賃料は、「不動産所得」として扱います。
- 耕作者が支払う賃料は、農業所得計算上の「必要経費」として扱います。
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- 契約の変更及び解約への対応
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地権者と機構間の契約及び機構と耕作者間の契約の変更・解約については、地権者と耕作者の合意によることが前提となります。
これを受けて、機構は県及び市町と協議を行い手続きを行います。
- 契約の期間満了の通知及び再契約の対応
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当面、経過措置期間は、契約終了の6ヶ月前を目安に機構から地権者、耕作者双方に「契約期間満了」のお知らせをします。この場合、再契約に関する地権者、耕作者それぞれの意向については、各市町へ申し出てもらうこととなります。(「地域計画」検討時に協議されることとなります。)また、契約期間が終了すると、利用権は必ず地権者に戻るため、再契約を希望する場合も、新たに手続きが必要となります。